高等遊民ってなに?
高等遊民って言葉聞いたことありますか?
日本国語大辞典によると「高等教育を受けていながら、職業につかずに暮らしている人。」とある。小学館のデジタル大辞泉によると「明治末期から昭和初期に使われていた言葉」だそう。
後に述べる佐藤優さんの著書によると、夏目漱石の『それから』の代助、『こころ』の先生などの人物が高等遊民にあたるらしい。
芥川龍之介の『侏儒の言葉』にも、作家所生の言葉「『振ってゐる』『高等遊民』『露悪家』〈略〉等の言葉の文壇に行はれるやうになったのは夏目先生から始まってゐる」と出てくるらしい。
要するに高等遊民とは教養はありながらも定職につかないで自由気ままに暮らしている人のこと。
英語で言うならばthe idle rich?
「高等遊民」との出会い
わたしがこの言葉に出会ったのは作家・佐藤優さんの『獄中記』。コロナの不自由な生活でより自由を感じるために同書を再読したのでした。(コロナ生活は不便だけど戦争よりまし、拘置所よりまし、という考え方ですね)
同書の高等遊民についての記述は同書のp. 116、拘置所生活111日目の【弁護団への手紙】に登場する。
ある意味で、拘置所内の生活は、夏目漱石の『それから』における代助、『こころ』における先生のような「高等遊民*」の世界に似ていると思います。
その前日の手紙のなかにもこのようにあります。
私個人にとっての教訓は、人間には「出来ること」と「好きなこと」があり、その二つが一致しないときに、これまで私は「出来ること」を選択してきましたが、これは必ずしも正しい選択ではなかったということです。これからは「好きなこと」を中心に人生を組み立てていきたいと思います。(中略)その一部は拘置所の中で既に達成できています。朝から晩まで机に向かう世界は私の「好きなこと」です。
北方領土返還のために奔走していた彼は、鈴木宗男代議士とともに国策事件の対象として逮捕される。世間のしがらみや煩わしさに嫌気がさし、全てから解放され自己の知的関心を満たす生き方がしたいと記しているもの。
これを読んだとき、わたしが目指していたのはこれだ!!!って思いましたよね(笑)いや、本気で!!
わたしの場合、仕事や世間に疲れて・・ということではなくて、思い返せば言葉さえ知らなかったものの、学生時代から要は高等遊民になるにはどうしたらいいか?と考えていたようであります。。
それにしても、好きな作家さんというのは自分と考えや興味関心が似てるから共感できるんでしょうね。告白のようですが、私は佐藤優さんが大好きなのです。アメリカにいながら、そしてコロナのなか、彼の本を日本から紀伊国屋書店経由のフェデックスで取り寄せてあれこれ読んでいたのですよ。
現代の高等遊民としての暮らし
とはいえ、現代において仕事をまったくしないというのは世間から切り離されてしまうし経済的な自由を失うことになるから現実的じゃないかもしれない。
たとえ、経済的なスポンサーがいたとしてもスポンサーだって死ぬかもしれないし、自分の自由や生死を他人に預けてしまうのは危険!というわけで、イマドキの高等遊民になるにはいかに短時間で効率よく稼いで、いかに多くの時間を自分の知的好奇心のために使うかということになる。
就職氷河期に就活していた身としては今だから言えることだけど、知的好奇心が満たされるクリエイティブで責任ある仕事がしたいと願うと同時に、稼いだお金でプライベートも楽しんで休暇で海外にもたくさん旅行できるような働き方がしたいと思っていたのだ。(もともと文化系、体育会系の真逆をいくタイプだったしね)
聖書の”Ask, then it shall be given”ではないけれど、求めていた生活を持ち前の戦略的思考力を使って無意識のうちに形にしていた様子。おかげで日本で働いていたときから仕事が忙しくてプライベートがないというような生活は一時的な経験をのぞいてしたことがない。
わたし流イマドキ高等遊民の暮らし
アメリカで生活する今に至っては正社員というステータスをキープしつつフルタイムで週休3日制の週30時間労働を実現、好きな本を買いたいだけ買って、年に1~2回は国外旅行を実施。(今はコロナで行けないけど)
今日もこうやってイマドキ高等遊民としてブログでアウトプットを続けている。そう、こうやって学んだことや考えたことをブログに綴ることこそがわたしの幸せ、至福のときなのだ。
あなたも高等遊民を目指してみませんか?
ただの無職で無知だったら苦しい人生だけど、経済的・精神的な豊かさを手に入れた高等遊民をあなたも目指しませんか?何事もまずは願うこと。最初から無理だと思えばそこまでの話。要は自分の理想とする生活をイメージして実現するためのプロセスを楽しむことにあると思うのです。
いかがでしたか?あなたにとってのイマドキ高等遊民の定義ってなんですか?どんな生活がしたいですか??
[…] 先日書いた「高等遊民」についての記述がこの本に出てくるらしくて […]