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名作の背景が知りたくて
風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡 こちらはキンドル版で読みました
風に吹かれてI スタジオジブリへの道 キンドル版なく文庫本をY姉が送ってくれました
こんな感じで2冊読みました。
前者はジブリの宮崎駿、後者はそのプロデューサー鈴木敏夫のインタビュー集。
インタビュアーはいずれも渋谷陽一さん(現Rocking on社長)
彼が当時(90年代〜)雑誌記事のためにインタビューしたものを本にまとめたもの。
ジブリ世代かどうか!?
先日一回り年の違う方とお話していたときにジブリの話になったんだけど
作品をほとんど見てないと聞いてすごく驚いたのだけど
もしかするとジブリを見た世代と見てない世代がいるのかもしれない。
わたしが見たジブリ作品は90年代のものばかりで
どれも金曜ロードショーで見たのだけど
当時もう大人になってた人たちはどうせアニメでしょ?って感じで
見なかった人もいたのかもしれないなぁ。
もちろん当時大人だった人でも映画作品として
しっかり見てるし好きな作品もあるって人もたくさんいるとは思うんだけど
わたしの世代ではジブリ観てるのは基本だと思ったから・・・ちょっと考察してみた。
ジブリ本を今読んだ理由
去年のコロナ禍でエクアドル人夫婦の友達にジブリ作品を強く勧めてて
幸いHBO Maxでジブリ全作品が公開されてたからいろいろ観てもらって
改めてジブリについて考えたんですよね。
石田衣良さんも宮崎駿さんのことを
世界に名が通っている数少ない日本を代表するクリエーターだと言ってて
わたしもホントそうだなって思って。
他にも村上春樹とかもいるけど
わたしはやっぱりジブリだと思うんだよね。
ところで印象的なのはそのエクアドル人の友達が
宮崎駿のドキュメンタリーも観たそうで
Super Workaholic って言ってたこと笑
確かにそうだよね。
そういう時代の人と言ってしまえばその通りだけど
ある意味日本的な働き方をした人なのかもね。
アニメって作るの手間かかって大変だから
ああいう働き方にならざるを得ないとも言えると思うけど。。。
わたしの好きなジブリ作品
ジブリ作品観た人なら自分の好きな作品っていうのがあると思うんだけど
わたしの場合はやっぱりナウシカです。
この前Ginaちゃんにこのことを言ったら
「Mayちゃんナウシカっぽいよ!」と言われて
そうか、わたしは小さい頃からずっとナウシカを目標に生きてきたんだって
気づいたような、思いついたような。
実は誰だったかな、うちの妹かな?が
新品のナウシカの絵葉書をくれたことがあって
それが引き出しの中で眠ってたから
今は机の前のコルクボードに貼ってる。
ナウシカは決して友達とつるんだりするタイプではないし
どちらかというと孤独な感じで
敢えていえば動物とつるんでる感じなんだけれども
そういう人間よりの弱いものというのかな
動物とか自然とかそういうものに優しさを示しつつも
リーダーシップを発揮する感じがすごくかっこいいと思ったのでした。
もちろん、トトロは言わずと知れた名作だし
日本の田舎風景とかよく描写されてて
外国人に紹介する作品としては大好きなのだけど
我が心の名作というとやっぱりナウシカかな。
『風の帰る場所』ナウシカから千尋までの軌跡
このタイトル。ナウシカから千尋までというのがいいよね。
ギリギリわたしにも分かる作品まで。
宮崎駿さんって職人さんって感じで
インタビュアーが的外れなことを聞いちゃったりしたら
怒り出しそうなイメージがあるんだけど、この本は安心です。
むしろ、「紅の豚の豚って、宮崎さんですよね?」なんて
作品について突っ込んで質問しちゃたりしてていい。
タイトルの『風の帰る場所』はナウシカファンとしては嬉しいのだけど
インタビューの中でも作品での「風」の使い方について触れられていて興味深い。
となりのトトロ』(一九八八年)の中で、主人公の姉妹が引っ越した晩に、サツキが外に出て薪を取 りに行くと、風が突然吹きますよねえ。 「はい」 ──あの風が吹いた瞬間から、映画のトーンってい うのがまた変わって、一つジャンプアップしますよね。
それから『魔女の宅急便』(一九八九年)で、キキが飛びますよね。あのときの最初の風っていうの も非常に印象的に描かれていて。あの風が吹いた瞬間から、キキは魔女として自立した旅に出るとい う、一つの区切り目として風ってよくお使いになるような気がするんですけれども。あれはたまたま ですか。それともなにか自分の中であの風が吹くというのは・・・。
こういったインタビュアーの投げかけに対して宮崎駿さんは
「いや、あんまりこう自分がやりたいと思ってることを分析しようと思ったことはないんですよ。分 析した途端にくだらなくなってくるから」
と言いつつも
自分のとこは吹いてないけども、向こうの木の上だけ揺れてるのなんか見ると『ああ、あそこだけ風 が吹いてるなあ』とか思ったりね。そういうときはなんか気持ちが伸びやかになったり、そういうい ろいろな経験がありますけども。
あのー、ただ自然という現象を描くときに、例えば空気というものも、それから植物も光も全部、静 止状態にあるんじゃなくて、刻々と変わりながら動態で存在してるものなんですよね。
「それを見ている人間も歩いてる自分も、その感受性も刻々と変化するでしょう。いつもなら『いい なあ』と思える景色が、今日は条件が全部揃ってるのに全然目に入ってこないとかね。それから、な んでもないくだらない状況なのに、やたらに景色がよく見えるとかね(笑)」
ってちゃんと宮崎さんなりの感性でインタビューに答えてくれている。
他にもディズニーは入り口と出口が同じ、という話とか
哲学に通じるような興味深い会話が満載。個人的にけっこう好きな本でした。
『風に吹かれてI スタジオジブリへの道』
プロデューサー鈴木敏夫さんとのインタビュー集の方は
話上手な鈴木さんの人柄もあり苦労話もたくさんなんだろうけど
読んでいてワイワイ楽しい。
まあ、人は自分の言った言葉に支配されるものだから。いろんな危機はあったんでしょうけれど、やっぱり選んだんですね。そんな、アカデミー賞だの、金熊賞だの、そんなの獲りたいなんてことも思ったことはないしね。それで、獲ったからじゃあどうだったっていうわけでもないしね」
それまでね、例えば野球だって相撲だってそうだけれど、やっぱりね、その業界全体を支える人ってね、ひとりかふたりなんですよね、いつも。でも、その人と入れ替わる人の登場って必ずあるでしょう。そういうときって、必ずひとりなんです。
これ、実は全2巻で続きがあるんですよね。
こちらもキンドル版ないから気軽に読めない。
Iを読んじゃったらIIが木になるのが人の常で・・・
でもスタジオジブリの全盛期のインタビューが読めたからひとまず満足かな。