先月サンディエゴアジア映画祭で映画版を先に観てからの
小説本でした。
やっぱり映画より本が好き!と思えるいい一例だったかも。
小説なのだけど実際の統計データが紹介されていたり
複数のストーリーが散りばめられていて
これは映画の長さでは収まり切れない。本の勝ち。
小説は韓国の話なんだけど、決して他人事じゃないよね。
小説のなかに出てくるリアルな統計
- 育児休暇を取得する女性は2003年の20%から2009年には半分以上に増えた。
- しかしながら10人に4人はいまだに育休なしで働いている。
- 韓国におけるジェンダーにおける給与額の差はOECD最低だ。2014年のデータによると女性は男性の63%の給与しか受け取っていない。ちなみにOECDの平均は84%。
- また英国のエコノミスト誌によると韓国は働く女性にとって最悪の国であるという評価。ガラスの天井についての調査で最低スコアを受けた。
- 2歳以下の子を持つ母親の自分の時間は4時間10分。託児所に子どもを預けた場合は4時間25分。つまり、子どもを預けても母親は休むことはできず、子どもがいない状況で家事をこなすか子どもの面倒を見ながら家事をこなすかの違いでしかない。
具体的に共感できたところ→わたしの個人的な意見
- 娘である自分が母親の夢やキャリアの足かせになっているという気持ち
- 自分の考えを表現することに慣れておらず自分の不満を口に出すことが難しかった子ども時代
- 毎月来る生理の苦しみを静かに我慢していたこと。鎮痛剤を飲む罪悪感や体への不安。
- バカな女はバカすぎる、賢い女は賢すぎる、普通な女は普通すぎるのか?という問い
- 職場における男女への境遇や待遇における差別が仕事へのやる気や信念を確実に削ぐということ
- 世界は大きく変わったとはいえ、日常の小さなルールは全く変わっていないということは、結局のところ何も変わっていないのと同じことだ。
- 子どもを持つことで女性は若さ、健康、仕事、同僚、社会的つながり、キャリアプラン、そして将来を犠牲にする。道理で失うものが多いと感じるわけだ。でも夫としてのあなたは一体なにを失うの?
- 「生活を維持するための仕事」としての家事だけど、金銭的価値について語る人は誰もいない。そんなことをすれば誰かが払わないといけなくなってしまうから。
- 「母性愛」という考えが宗教のように広がってる。
- 「彼らにも家族や親がいるから」というのはセクハラや痴漢をすべきでない理由であって、加害者を許す理由になるべきではない
- 加害者は特権の一部を失うに過ぎないのに対し、被害者はすべてを失うリスクを負っている。
- 出産後に新しい仕事を探しても前職と比べて小さな組織でつまらない仕事しか見つからないことが多い。
→子どもを産むだけで仕事人としての価値が下がるわけがない。おかしい。でも実際には子どもが病気になったりで会社を休んだり早退したりすることは(特に最初の2-3年)ある。企業や社会が変わることが最善だが、目下の対策としては出産後に仕事人としての価値を下げないためにもとにかく仕事は辞めないこと。自分の価値を十分に証明した会社で妊娠・出産のベネフィットを使って済ませてから転職・独立するのが得策。 - 彼女がもっと面白くて、彼女が得意としていて、本当にやりたいことをやってほしい。他にやれることがないからするというのではなくて・・・。
この問題を小説として書いたというのがうまいよね。
そしてこうやってみればみるほど女性として生きる苦悩はまだまだたくさんあるし
改善の余地もたくさんある。
その他の感想は映画版を観たときに書いてるのでそちらも、ぜひ。