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4月のある週末、サンディエゴでも屈指の高級住宅ラホヤに所在する大学キャンパスからほど遠くない場所にあるブルワリーに、日本人8名が集合した。年齢は30代、男女が入り交じり、仕事をしているものもいれば、留学生の身分のものもいた。
正午に集合した8人は、みんながみんな初顔合わせというわけではなかったが、それでも参加者全員にとって半数以上は初対面だった。にもかかわらず、ぎこちない雰囲気は微塵もなく、時間が経つのを忘れそれぞれの話に花が咲き、とにかくよく笑い、気づけば午後3時。すっかり長居してしまい、ウェイターの女性には申し訳なかったものの、みな生き生きした顔をして席を立った。レストランの外で恒例の記念写真を撮り、「お互い頑張りましょうね!」「貴重なお話をありがとうございました!」とお互いに声を掛け合って、帰路についた。
130人がフェイスブックのグループページには写真がアップされ、「次回は3か月後に開催です、お楽しみに!」のメッセージ。参加者はもちろん、そうでないメンバーからも「いいね」がたくさんついていた。
貴重な学びを共有する場がほしい
UCSDエクステンションのビジネスプログラムに社会人留学生として在籍していた2009年、クラスメイトなどを通じて現役生や卒業生に会う機会はあった。けれど、その前の先輩たちはどのような就職をしたのか、そもそも未だにアメリカに残っている先輩はいるのか知りたいと思った。ところが、特に体系だった組織があるわけでもなく、その疑問は解けることがないままだった。
2010年にUCSDエクステンションを卒業し、アメリカでの就職活動の末、就職先が決まり、就労ビザを得ることができた。書いてしまえば一行で済むことではあるものの、その間多くのことを学んだ。外国人、特に日本人として仕事を探すコツや、アメリカ人が知識を持たない就労ビザの種類や条件、就労ビザを持たない「条件の悪い」わたしたちが企業や就職エージェントとうまく付き合い方法などだ。この、少しマニアックではあるかもしれないが、アメリカでキャリアを築きたい日本人の社会人にとっては宝となるような知識を、わたしの頭の片隅に留めておくのはもったいないと思った。
つながりを楽しみたい
と同時に、学ぶことはオンラインでもできる時代に敢えて留学をすることのメリットは、ネットワークを作れること。つまり、人との出会いやつながりにあると感じていた。自分と同じように何らかの動機で日本を飛び出してアメリカの同じ場所で学び、似たような悩みや苦難を共有する人たちには共通する自己への誇りのようなものを感じた。
そんなわけで2011年ごろに「UCSDビジネスの会」を立ち上げた。主に、UCSDエクステンションでビジネスプログラムを受講している現役生と、その卒業生をつなぐことを当初の目的にした会だ。日ごろはアメリカ社会にどっぷり浸かって頑張っているメンバーもこの日は母国語使い放題、背中に置いてきた母国を思い出しながら、いい意味で「あうんの呼吸」の気楽さで楽しめる時間だ。
多いときは20人が集まるこの会は、現役生にとっては情報収集の場、卒業生にとっては自分の来た道を振り返って自分の成長を再確認できる場。集まるごとにとにかく楽しく、ゴキゲンでまたそれぞれの挑戦のステージに戻っていく。
ケーススタディが生まれた
この会を9年間続けているうちに、「日本でこの職種で、この専攻の人は〇〇したらいいな」とか、「こういうケースのとき、〇〇さんはこうやってうまくいっていたな」「〇〇州(または〇〇業界)には先輩の〇〇さんがいるな」といったような情報が体系化されていった。挑戦の最中にいる現役生から質問が出たときにこういうケースがあったよ、この人とつながれば答えがみつかるかも、と頭の引き出しから必要な情報を取り出して提供できるようになったのも、このコミュニティをしていたおかげだと言える。
またフェイスブックのページでは、教科書の売ります買います、部屋を探しています、求人情報など、役立つ情報がバーチャルで共有される場になっている。
コミュニティを作ってみよう
もし、自分には所属するコミュニティがないとか、もっとワクワクできるコミュニティがほしいと思ったならば、コミュニティを作ってみたらいい。
わたしが人生で最初に作ったコミュニティは社会人になりたての23歳のとき、自分と気の合う友人6人ほどを集めて冬の寒い夜にもつ鍋を食べにいったのがきっかけだった。参加者の誰もがまだ新人と言われていた時代で、大学の専攻や就職した職種や業種はバラバラだったものの、お互いがそれぞれに仕事も趣味も旅行も、そして将来の夢も、安心して自由に語れる場所になった。時には自分が新しく学んだこと(例えばエニアグラム)とかを話題に上げて、みんなで結果を比較したり分析してみたり、ちょっとサロン的な学びの場にもなっていた。
新卒で空港のグランドスタッフになっていた1歳下の男の子は、もっと飛行機としっかり関われる仕事がしたいと日々語っていたけれど、今では国家試験に受かり立派な航空管制官として空の安全を守ってる。そしてわたしは、サンディエゴで働きたいと繰り返していて、結局今その夢は叶ってる。当時新人だったわたしたちも、今は中間管理職の世代。メンバーの2人は自分の意志で独身を貫いているけれど、残りのメンバーは結婚し、人の親となり、新たな人生のステージに挑戦中。(当時、生涯独身だと語っていたわたしは、独身メンバーに嘘つき呼ばわりされている苦笑)
今では全員が集まることはほとんどなくなってしまったけれど、世界のどこにいても、メンバーがどこでどうしてるのか容易に想像がつくし、久々に会えば当時と同じテンションで話ができる貴重な仲間だ。
何も特別なことは必要ない。必要なのは、「テーマ」に沿った仲間と、興味を惹かれる話題かもしれない。
一人で思い悩む時代じゃない
これを読んでいる人はきっと、自立したステキな人だと思う。「自分の人生なんだから自分で考えなくちゃ」と少し気負っているかもしれない。だけど、人生というのは自分の内面で起こるのではなくて、社会だったり、他人だったり、自分の外で起こるものなのだ。だから、一人で悩んで決めるのではなくて、アイデアを仲間をシェアして一緒に前に進んでいけるような、そんなコミュニティを持つことって人生を豊かにすることにつながる。最初は1対1のLINEトークでもいい。自分から相手を選んで繋がっていくフットワークの軽さを持っていたいものだ。
それでは最後に質問です。あなたはコミュニティに所属していますか?コミュニティの力とはどんなものでしょう?自分が所属したいコミュニティがないと感じているとしたら、どのような方法でコミュニティを作れると思いますか?今回のような元気の出て役立つコンテンツを「自分らしく夢を叶えるメルマガ」で配信しています。自分らしく夢を叶えるために動き出している仲間にあなたも今すぐ加わりましょう。