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あなたは自分自身をどう評価していますか?
わたしたちが生きている社会は競争社会。
「自分が特別で平均よりも上」と感じられないと満足感が得られないと感じている人も多いのではないでしょうか。他人と比較して、自分が優位に立てているといい気分になった次の瞬間、自分よりも成功している他人の存在が目につき劣等感を感じたり、鏡のなかの自分を見ては気に入らないところに目がいってしまったり・・・。
「賢くて、かわいくて、きれいで、おしゃれで、体は引き締まってて、話も面白くて、成功していて、愛されていて、セクシーで、心もきれいに」・・そんな自分を目指してどんなに頑張ったとしても、自分よりも上を行く人は常に存在するもの。その理想と現実のギャップに苦しみ、不安になったり、落ち込んだり、自分を責めたりする結果、幸せだと感じられない、自分が受け入れられないと悩む人はかなり多いようです。
今回から数回にわたり、「自分に優しくしてもいいの?~セルフ・コンパッションのすすめ」というテーマでお送りします。
親友にするように、自分に優しくする
そういった状況を打破するためにはどうしたらよいのでしょうか?
テキサス大学でヒューマン・ディベロップメントを専門にしているクリスティン・ネフによると、あたかも親友に対してわたしたちが当たり前のように行っている行動、つまり優しさ、共感、思いやりをもって自分に接することで、自分の現実が原因でストレスを感じることから解放されると言います。つまり、思い切って自己批判や自己評価を辞めてしまうことです。
自分を「よい」「悪い」で判断するのは辞めて、大きなこころで自分を受け入れることを提唱しています。
セルフ・コンパッションという考え方
この考え方はセルフ・コンパッション(自己共感)といって、今アメリカでとても注目されているコンセプトです。セルフ・コンパッションは3つの柱からなります。
①自分を慈しむこと
自分が感じている苦しみや欠点を自己批判したり無視したりする代わりに、暖かい気持ちをもって向き合うこと。
②共通の人間性
わたしたちが感じる苦しみや欠点は人間共通のものであると認識すること。
③マインドフルネス
自分の内面から湧いて出る負の感情や考えを批判・誇大・抑圧することなく、大きな気持ちで好奇心をもって見つめること。
自分を甘やかすことにならないのか?
このように自分に優しくすることは自分を甘やかすことにならないのかと心配になる人もいるかと思います。
しかし、最近の研究によるとセルフ・コンパッションを実践している人は不安、恐怖、イライラ、敵意、苦痛などのネガティブな感情を最小限に抑えることができ、また日ごろから気持ちが安定していて、負の感情に陥りにくい耐性がついていることが分かっています。
わたしたちが自己批判してしまうワケ
ではわたしたちはなぜ自己批判するのでしょうか?それにはいくつかの背景があります。
①社会でうまく生き延びるための自己批判
人間が社会的な生き物であるために他人から批判される前に自分で批判することで自分を守ろうとするため。
②親から受けた影響
親が子どもをトラブルから守る為に、あるいは自分たちが理想とする形に子どもをあてはめるために、批判的な発言や態度をとった場合、子どもは自己批判は必要なツールだと思い込んでしまいます。また、批判的な親のもとで育った子どもは、完璧でないと愛情を受け入れないと理解し、自己批判をするようになります。
研究によると、批判的な両親のもとに育った子どもは、大人になって自己批判が強い人間に育つという、納得の結果が出ています。(親に限らず、親戚や教師など子どもに影響を与える人すべてに共通する話です)
③文化から受けた影響
西洋では自尊心が低いことが問題視される一方で、例えば儒教の影響が強い文化圏では自己よりも他人を優先すべきで、自己批判を行うことが奨励されてきた背景があります。こわいですよね。
そして国がどこであれ、自己批判がうつ病や不満の原因であることが証明されています。だからこそ今、わたしたちが取り入れるべきは自己批判ではなくセルフ・コンパッション、つまり自分に優しくすることなのです。
今日の質問
①あなたの普段の生活を見つめ直してみてください。自己批判をするクセはありますか?
②今日の話のなかであなたの心にいちばん響いたのはどんな内容でしたか?
次回は自己批判に置き換わる、セルフ・コンパッションを生活に取り入れる方法についてご紹介します。どうぞお楽しみに!