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あるエグゼクティブのストーリー
シリコンバレーに毎日多忙で疲弊しているエグゼクティブがいました。
毎日ミーティングや電話会議に追われ、上司や部下からの依頼を満たす日々でした。ストレスはたまり、仕事のクオリティは落ちていきました。
ある日そんな状況に嫌気がさしたエグゼクティブはメンターのところに相談に行きました。「ストレスで疲弊しているので会社を早期退職をして自分でコンサルティング会社をしようかと思っているのだが、どうも乗り気にならずどうしたものか悩んでいます。」
メンターは答えました。「会社に残りなさい。その代わり自分で起業をした時にするであろう仕事のみして他のことはしてはいけない。そしてこのことは誰にも言うな。」
エグゼクティブは助言に従いました。
まずは、依頼される仕事が自分の持つ時間やリソースで十分にできるかどうかを自分に問い、できそうにない場合は仕事を断ることにしました。実際に断ってみると、最初はがっかりしていたように見えた相手もエグゼクティブの正直な回答を尊重しているように見えました。
次にエグゼクティブは依頼される仕事が自分の時間やリソースを使って今すぐやるべき最も大切なことであるかを自分に問い、自信を持ってYESと答えられない場合は断ることにしました。
結果、依頼主は最初はがっかりしたように見えてもエグゼクティブの存在をもっと尊重するようになりました。
最後にエグゼクティブはこの質問を直接的な依頼だけではなく全てのことに応用することにしました。有益な情報が得られない会議への参加は辞め、招待された電話会議への参加も辞めました。
「招待されたという事実だけでは参加するに値する理由にはならない」
当初は自分勝手かもしれないという考えも浮かんだものの、選択するという行動を取ることでエグゼクティブは多くを手に入れました。全てをこなそうと躍起になるのではなく、本当にやるべき1つのプロジェクトに集中しあらかじめ考えられる問題を取り除きながら質の高い仕事をすることです。
エグゼクティブは本当に大切な一つのことにリソースを集中させてそれ以外のすべてを取り除く、あらゆる案件でそれぞれ1ミリの前進を遂げるよりも本当に価値のある一つの案件で大きな前進を遂げることに集中しました。
続けること数ヶ月後、エグゼクティブは職場でも質の高い仕事ができると同時に、家で家族と過ごす時間も長くなりました。さらに驚くことには彼の行動に対してネガティブなことをいう人はいませんでした。それどころか、彼が会社にとって本当に大切なことだけに真摯に取り組む姿が尊敬され、仕事面でも高く評価されるようになりました。
エッセンシャル思考
エグゼクティブのストーリーはNoともっと言うことについての話ではありません。
正しいアクティビティに投資しているか?と頻繁に立ち止まり自分に問いかけることです。現代にはわたしたちの時間やリソースではまかないきれないほどのあらゆる機会とオプションであふれています。たいていの機会やオプションや良いものなんですが、本当に大切なものは少しです。
エッセンシャル思考というのはいかに多くのことを片付けるかということではなくて、いかに「正しい」ことを成し遂げるかにあります。英語にLess is moreという表現がありますが、本当に大切なこと<エッセンシャル>だけすることで、自分の時間とエネルギーを最高の形で賢く投資することをエッセンシャル思考といいます。
著者が犯した優先順位の誤ち
久々の良書Essentialism、和書名「エッセンシャル思考 最小の時間で成果を最大にする」の著者グレッグ・マキューン(Greg McKeown)もエッセンシャル思考で失敗した苦い経験があります。
あるカリフォルニアの冬の日、グレッグの妻は病院にいました。病気をしたからではなくて二人の子どもを産んだのです。妻の腕には小さな赤ちゃんがいました。
そんな幸せいっぱいの日にもかかわらずグレッグは病室でストレスを抱えていました。電話に出て、メールチェックし、顧客との会議に参加するプレッシャーを感じていました。同僚から届いたメールには「金曜日の午後1時から2時は顧客との会議に出てもらわないと困るから赤ちゃんが産まれてもらっては困る。」
金曜日、子どもが生まれ病室にいたグレッグは本能的に妻と子どもと一緒に病室にいるべきだと分かっていました。ところが会議に参加するか尋ねられた際に「YES」と呟いてしまったのです。
妻と産まれたばかりの子どもを病室に残し、グレッグは会議に出かけていきました。結果はどうだったかというと、会議には集中できず、さらには内容も大した内容ではなかったのです。
さらには妻の気持ちを傷つけ、自分の尊厳も失ってしまったように感じました。もし会議が実り多いものだったとしてもグレッグはハッピーではいられなかったでしょう。グレッグがこの経験で学んだことは、自分で優先順位をつけなければ他人に優先順位をつけられてしまうということでした。
エッセンシャル思考が世の中に浸透しない理由
エッセンシャル思考を実践すれば大きな結果を出すことができるのにそれができないのにはいくつかの理由があります。
①チョイスが多すぎる
一昔前までたいていの人には多くの選択肢はありませんでした。ところが現代は長い人間の歴史で初めて多くの選択肢が与えられ、自分で自分を管理していかなければならない時代であるとピータードラッガーも言っています。
混乱するほどの選択肢が急に生まれ、わたしたちはなにが大切でなにが大切でないかを判断する能力を持ち合わせていません。
②社会からのプレッシャー
選択肢が増えたのに加えわたしたちの選択に影響を与えるものも増えました。インターネットに情報が溢れる時代は意見も溢れる時代なのです。
③「すべて手に入れられる」
「すべて手に入れられる」という考えは今に始まったものではないのですが、この考えが信じられ世の中に浸透してしまっています。広告でも利用され、求人条件には多くのスキルや経験が並んでいます。
特に選択肢が増えた現代においては、全てを手に入れようとするために数多くの選択肢に手を出す人たちがストレスを抱える結果になっています。
ちなみに英語のpriorities(プライオリティ=優先順位)という単語はそもそもPriorityという単数形で用いられていた単語でした。本当に大切なものは1つだったからです。それが時代に応じて複数の優先順位が生まれprioritiesと複数形で使われるようになったのです。
ワードローブ・エクササイズ
エッセンシャル思考のアプローチをタンスの服を管理することを例えて紹介します。
①見直す
「この服はいつか着るときがあるだろうか」と自問する代わりにもっと突き詰めた質問をする必要があります。「これ好きかな?」「これを着たときいい感じに見えるか?」「よく着るだろうか」もし答えがノーであれば捨てる服の候補になる。
同じように仕事やプライベートでも「この活動や努力は自分のゴールに最大の効果を発揮するか」を自問すべき。
②選り分ける
タンスの服を「キープすべき服」と「多分捨てた方がいい服」に分けたとして、「多分捨てた方がいい服」を捨てる勇気が出ないことってありますよね。ある研究によると所有しているものを実際の価値よりも過大評価してしまうのだそう。なのでキラークエスチョンとして「もしこの服を所有していないとして、いくらだったか買うか」と自問すればよい。
つまり、最大の結果を出せないことを見極めるだけではダメで、主体的にその活動を辞めていかなければいけない。
③実行する
タンスを常に整頓した状態にしたい場合、定期的に整理することが必要ですよね。大きな袋に要らないものをすべて入れて、本当にいるものだけを小さく積み上げる。寄付を受け付ける団体の場所や受付時間を把握しておく必要もある。
つまり、できるだけ努力なく最大の状態を保つためのシステム作りが必要。わたしがマーケティングコーチとしてクライアントさんのビジネスにマーケティングの仕組みを取り入れてもらう際にも、努力なく無意識に実行できるようなシステムを導入するように心がけています。それがプランが実行されて定着する近道だからです。
それでは最後に質問です。
自分が最も能力を発揮できることは何ですか?
最大の結果を生み出すために、今辞めるべきことは何ですか?
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